車を持たない人の移動と生活アクセス

高齢化と運転免許返納の増加で、車を持たない / 運転できない人の生活移動が困難に。地方ほど深刻で、需要起点の生活交通の再設計が問われる。

コミュニティ 全道
取組 4 道外 2 出典 6

現状

北海道は車社会で人口の約8割が日常的に車を利用。75歳以上の運転免許保有者は道内で増加傾向、自主返納者数も右肩上がり。子ども・障がい者・観光客などの「車を持たない / 運転できない」層も含めると相当数。バス路線の縮小、駅・店舗の減少で、車を持たない人の生活アクセスが構造的に困難。改正道路運送法で「自家用有償運送」「日本版ライドシェア」などの代替手段が制度化されつつある。

解釈の論点

鉄道・バス維持の議論は「インフラ視点」だが、車を持たない人の移動課題は「ユーザー視点」で再設計する必要がある。誰がどこに何のために行きたいか、その需要を起点に交通サービスを組み立てる。MaaS、デマンド交通、ライドシェア、貨客混載、フードデリバリーまで含めた「生活移動の総合体系」を地域単位で設計する発想転換が要る。

構造を深掘る

数値で見る現状

北海道は車社会で人口の約8割が日常的に車を利用。75歳以上の運転免許保有者は道内で年々増加、免許自主返納も右肩上がり。一方、地方ではバス路線数の縮小、駅・店舗の減少が続き、車を持たない人の生活アクセスが構造的に困難に。子ども・障がい者・観光客なども「車を持たない」層に含めると、潜在的な対象は数十万人規模。

ユーザー視点 と 現行制度のズレ

現行の交通政策は「路線維持」「事業者支援」が中心で、「誰がどこに何のために行きたいか」の需要分析が薄い。バス会社・鉄道会社の経営視点では「赤字路線は廃止」となるが、ユーザー視点では「目的地に着けるか」が本質。需要起点で組み直すと、定期路線より デマンド型 / 共有型 / マッチング型のサービスの方が合理的なケースも多い。

論点

「インフラを維持するか、サービスを設計するか」。前者は鉄道・バスの路線存続を中心に据える、後者はユーザーの移動目的を起点にあらゆる手段 ( ライドシェア・デマンド・自家用有償運送・貨客混載 ) を組み合わせる。地域として どちらを軸に据えるかが、施策設計の方向を分ける。

持続性を高めるためのポイントで評価する

車を持たない人の移動施策で持続性を高めるためのポイントは4種。移動需要データ ( 誰がどこに何のために行きたいか ) 、運行ネットワーク ( バス停・乗降所・ルート ) 、運転者コミュニティ ( 住民ドライバー・有償運送 ) 、規制との折り合い ( 自治体条例・有償運送認定 ) 。物理インフラより、データと関係資産が長期的に効く。

アクター別の手段

国 ( 改正道路運送法・日本版ライドシェア ) 、道 ( 交通政策・補助 ) 、自治体 ( デマンド交通・タクシー助成 ) 、民間企業 ( 路線バス・タクシー・ライドシェア・移動スーパー ) 、NPO・住民組織 ( 自家用有償運送 ) 、商業者 ( 移動販売・買い物代行 ) 、IT 企業 ( MaaS アプリ ) が並列で動く。1つの主体では成立せず、複数主体の組み合わせ設計が要る。

効きそうな打ち手

需要起点のデマンド交通

予約制で運行する小型バス / タクシー型のデマンド交通を、地域単位で展開

自家用有償運送の活用

改正道路運送法を活用、住民ドライバーによる地域内移動サービスを認定

貨客混載と生活サービス統合

移動 + 配達 + 買い物代行をパッケージ化、移動弱者の生活アクセスを総合的に支援

参考文献

道内の取組事例
札幌市で日本版ライドシェアが運行開始、平日運行と車両数拡大 道央
札幌市 ( 日本版ライドシェア )
公共ライドシェアを活用した貨客混載の実証運行を進める 十勝
上士幌町 ( 公共ライドシェア )
十勝バスの取組として、需要起点の路線再設計と MaaS 実装 十勝
十勝バス ( MaaS )
鉄道廃線後の地域交通として、バス + デマンドの組み合わせ運用 道央
夕張市
道外の取組事例
わたしたちにできること
  • 個人として ・ 公共交通・自転車・徒歩を積極的に利用
  • 個人として ・ デマンド交通の利用・周知への協力
  • 個人として ・ 高齢の家族の移動支援・同行
  • 企業・組織として ・ 公共交通通勤の推進・補助
  • 企業・組織として ・ 在宅勤務・フレックスの柔軟性
  • 企業・組織として ・ 地域交通プロジェクトへの参加
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