介護人材32万人不足 - 道内で広域・多層に組み直す

全国32万人不足 ( 2025 ) 、道内1万人不足見込み。介護人材問題を「個別職員確保」ではなく <strong>広域・多層・構造</strong>で組み直す。処遇改善・外国人・DX・地域包括の4軸を、道内179市町村の規模差を踏まえて設計する。

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アイデア

道内一次資料に基づき全面リライト。全国32万人不足・道内1万人不足の推移、豊岡広域連携・ドイツ州横断・Buurtzorg の道外事例、道内4タイプ別打ち手を新規追加。

北海道の高齢化率は2024年に33% を超え、全国 ( 29.3% ) を3ポイント以上上回る。訪問介護事業所の閉鎖・休止が道内全域で続発し、介護現場は「人手不足が深刻」を通り越して「サービス維持自体が困難」のフェーズに入りつつある。

本稿は介護人材問題を「個別職員確保」ではなく、広域・多層に組み直す構造として読み解く。道内一次資料で現状を確認したうえで、処遇・外国人・DX・地域包括の4軸を、179市町村の規模差を前提に設計する。

1. 道内の現状 - 数字で見る不足構造

推移で押さえる。単年スナップショットでは見えない、全国と道内の「速度の違い」が浮かぶ。

全国の介護職員必要数は2019年度 約211万人 → 2025年度 約243万人 → 2040年度 約280万人と推計され、2025年に32万人、2040年に69万人の不足が見込まれる。出典: 厚生労働省・第9期介護保険事業計画 ↗ 全国の介護職員有効求人倍率は2019年3.99倍 → 2022年3.59倍 → 2024年4.08倍と高止まり。全職種平均 ( 約1.3倍 ) の3倍超で、慢性的な売り手市場が続く。出典: 厚生労働省・一般職業紹介状況 ↗ 北海道の高齢化率は2010年24.7% → 2020年32.1% → 2024年33.2% と全国 ( 29.3% ) を上回るペースで上昇。道内介護人材不足は2025年に1万人超と推計される。出典: 北海道庁・高齢者保健福祉計画 ↗ 道内訪問介護事業所の倒産・休廃業件数は2020年代に入って増加傾向。特に過疎地のヘルパー確保が困難で、道北・オホーツク・釧路根室で「事業所はあるが訪問できない」状況が広がる。出典: 東京商工リサーチ・介護事業者倒産動向 ↗

仮説: 道内の介護人材不足は「絶対数の不足」と「地理的分散の不経済」が同時に効いている。札幌の事業者が「人が足りない」と感じる構造と、留萌・宗谷の事業者が「移動時間で1件しか回れない」と感じる構造は別問題で、同じ施策ではどちらも解けない。

推論: 現行ペースでは2030年代前半に、道内の過疎地小規模事業所の2-3割が閉鎖・統合に向かう可能性が高い。残された地域では「広域連携 + 移動式ケア + ICT 在宅見守り」のハイブリッド型に再編する圧力が強まる。

2. 論点

論点: 介護を「現状の事業所単位で人を増やす」前提で守るか、「広域・多層に組み直して残す」前提で再設計するか。評価軸を「事業所数の維持」から「地域住民が受けられる介護の質と頻度」へずらすと、打ち手が変わる。

3. 持続性を高めるためのポイント

介護に投じた予算・人材育成のうち、何が地域に資産として残るかを4種に整理する。短期消費される処遇加算と、長期に蓄積する仕組みを分けて見る。

資産種別中身残る条件失敗パターン
人的資産介護福祉士・ヘルパー・看護師の地域内コミュニティ処遇 + 住宅 + キャリアパスのセット設計離職率が高く、道外へ流出
仕組み資産広域連携・在宅見守り ICT・移動式ケア・[タスクシフト](/glossary.html#term-task-shift)のフロー市町村域を超えた連携設計事業所単位の競合が連携を阻む
関係資産家族・地域住民・元気高齢者の互助ネットワーク緩い場 ( サロン・通いの場 ) と日常接点個別家族で抱え込んで疲弊
規範資産「介護を社会で引き受ける町」の意思決定基準条例化・長期計画化首長交代で施策が縮小

4. 道外・海外の参考事例

兵庫県豊岡市 - 介護・医療・住まいの広域連携

豊岡市は2015年から「但馬地域医療・介護連携センター」を設置し、但馬5市2町で医療・介護情報を共有・連携。在宅看取り率は全国平均 ( 約14% ) を上回る20% 超を維持。出典: 豊岡市・地域包括ケア ↗

仮説: 但馬モデルの本質は「個別市町村の介護を競わせない」設計。広域での情報共有・人材融通・在宅看取りまでを5市2町で1つの仕組みとして運営することで、過疎地でも介護資源を最後まで活用しきれる。

ドイツ・訪問介護の州横断シフト

ドイツは2017年から介護保険法改正で在宅介護報酬を引き上げ、同時に外国人介護人材 ( ベトナム・フィリピン・ウクライナ等 ) の受け入れを州横断で運営。訪問介護従事者数は2017年 約42万人 → 2023年 約50万人と8年で約2割増。出典: ドイツ連邦保健省 ↗

仮説: ドイツモデルが効いたのは「処遇改善 + 外国人受け入れ + 在宅シフト」の3点セット同時導入。日本の「処遇改善だけ・受け入れだけ」では効果が部分的に終わる構造。

オランダ・Buurtzorg ( 近隣ケア )

Buurtzorg は2006年設立。12-15人の自律的なナースチームが特定地域を担当する分散型モデルで、2024年時点で15,000人超の看護師・介護士が在籍。設立15年で他社比40% 低いコストで運営、利用者満足度は業界トップ水準。出典: Buurtzorg Nederland ↗

仮説: Buurtzorg の本質は「管理職層を極端に薄くし、現場ナースチームに権限を渡す」構造。道内の小規模事業所が「管理コストで潰れる」問題と直結する論点。

5. 北海道に応用するなら

道内の規模差を踏まえると、単一施策の輸入は機能しない。規模別に組合せる。

タイプ代表自治体中心課題応用すべき打ち手
大都市型札幌市・旭川市事業所数は多いが慢性的人手不足外国人受け入れ拡大 + Buurtzorg 型の権限委譲
中規模都市型函館・釧路・帯広事業所縮小 + 専門人材流出豊岡型の広域連携 + 住宅手当
過疎地型下川・利尻・中標津事業所1つで広域を抱えるICT 見守り + 移動式ケア + 広域シフト
離島型礼文・奥尻船便依存で人材確保困難サーキット型派遣 + 遠隔診療連携

仮説: 道内で機能する組み合わせは「広域連携 + ICT 在宅見守り + 外国人受け入れ + 処遇改善」の4点セット。1点だけ突出しても穴が広がる構造で、同時並行で進める設計が必要。

推論: 道庁・全国知事会で「広域介護圏」構想が議論される可能性は高い。既存の二次医療圏 ( 道内21圏域 ) を介護にも準用する形での再編が、2030年前後に具体化する見通し。

6. わたしたちにできること

介護は「いつか自分や家族の話」になる。制度任せにせず、日常の選択で広域連携・在宅見守りに加担できる。

個人として

  • 親・自分の地域包括支援センターを把握し、元気なうちから「通いの場」「サロン」に参加
  • ICT 見守り ( 緊急通報・服薬支援 ) を家族で導入・検討
  • 介護職の処遇改善議論にパブコメ・SNS で発信
  • 外国人介護人材への日本語学習サポート・コミュニティ参加

企業・組織として

  • 従業員の介護離職を防ぐ制度 ( 介護休業・リモート併用 )
  • 事業所内介護施設・病児病後児保育の共同運営
  • ICT 見守り・介護 DX のサプライチェーンへの参入検討
  • 外国人介護人材の住宅・日本語学習支援を地域企業として共同実施

7. ビジネスアイデア

広域介護シェアプラットフォーム

  • ターゲット・道内中小介護事業者・自治体
  • 収益・仕組み・月額 SaaS + 派遣手数料複数市町村のヘルパー・看護師を1つのシフト管理・移動・報酬システムで広域シェア。道北・オホーツク等の人材不足地域へ道央から週次派遣。
  • 組み合わせ・JR北海道 / 道北バス + 自動運転バス + ICT

見守りデバイス外国人介護人材一気通貫支援サービス

  • ターゲット・ベトナム・フィリピン・インドネシア介護人材 + 道内事業者
  • 収益・仕組み・成功報酬 + 住宅・日本語学習サブスク雇用契約・ビザ・住宅・日本語・生活支援・コミュニティ参加を1社で提供。道内自治体・大学・不動産と連携し人材リテンションを確保。
  • 組み合わせふるさと納税 ( 企業版 ) +

道内多文化共生センター高齢者向け移動式ケアコンビニ

  • ターゲット・道内過疎地域の小規模町村
  • 収益・仕組み・自治体委託 + 在宅医療・介護報酬 + 物販看護師・介護福祉士・配達員が同乗するバン型移動車両で、日用品・処方薬・健康チェック・緊急対応を1拠点でカバー。
  • 組み合わせ・道の駅 + 移動郵便局 + デマンド交通

編集部が課題から逆算した新規事業・起業・投資の方向性 ( 推奨ではなく出発点 ) 。