所得階層と 進学希望・受診・抑うつ ( 道内の小2〜高2 と保護者 )

教育費の目処がまったくついていない世帯は低所得層Ⅰで49.0%、上位所得層で準備を始めているのは76.0%。子どもに必要な受診をさせなかった経験は低所得層Ⅰ24.0%で上位所得層10.6%の2倍以上。抑うつ群の割合は暮らし向きを苦しいと感じる中2で48.4%。

分類
教育
範囲
北海道
期間
2021-2022
公開日
2026-07-22
出典
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター「子どもの生活実態調査」研究班 / 北海道 / 札幌市「第2回 北海道子どもの生活実態調査」第Ⅱ部
ライセンス
北海道 ( 調査報告 )

数値の概略

第2回 北海道子どもの生活実態調査 ( 2021年・一部2022年 ) の第Ⅱ部にあたる、小2〜高2とその保護者への調査から。所得階層の区分は 制度利用のデータセット と同じで、厚生労働省が貧困率の推計に用いる相対的貧困線を基準とする。

教育費の準備状況 ( 小5・中2の保護者 )

状況全体低所得層Ⅰ上位所得層
貯金や学資保険などで準備を始めている53.4%25.6%76.0%
まったく目処はついていない23.3%49.0%
必要なお金はすでに準備できている14.2%

低所得層Ⅰでは半数に迫る49.0%が「まったく目処はついていない」と答えている。所得階層が低くなるほど「時期になったら奨学金を利用する予定である」「まったく目処はついていない」の割合が高い。

子どもにどの段階まで教育を受けさせたいか ( 小5・中2の保護者 )

回答全体低所得層Ⅰ上位所得層
四年制大学またはそれ以上33.4%
高校31.8%5.4%

「高校」と答える割合は 低所得層Ⅰで31.8%、上位所得層で5.4%と6倍近い開きがある。ひとり親世帯ほど「四年制大学またはそれ以上」と答える割合が少ない。

高校卒業後の進路 ( 高2の保護者 )

回答全体上位所得層
四年制大学進学33.2%59.6%

所得階層が低くなるほど「就職」「まだわからない」と答える傾向がみられる。

必要な受診をしなかった経験

対象全体低所得層Ⅰ中間所得層Ⅱ上位所得層
子どもに必要な受診をさせなかった15.5%24.0%10.9%10.6%
回答者自身が受診しなかった28.8%44.5%

回答者自身が受診を控えた経験 ( 28.8% ) は、子どもについての経験 ( 15.5% ) より高い。ひとり親世帯のほうがふたり親世帯より高い。

子どもの抑うつ ( 小5・中2・高2 ・ 本人回答 )

抑うつを測る尺度で7点以上を「抑うつ群」とする。7点はカットオフ値で、これを超えると心理的な問題が生じる可能性が高くなることを意味する。

所得階層別

区分合計一般群抑うつ群
全体4,97262.3%33.5%
低所得層Ⅰ79058.6%38.0%
低所得層Ⅱ84264.8%30.8%
中間所得層Ⅰ78263.9%33.0%
中間所得層Ⅱ1,25063.2%32.9%
上位所得層73663.7%32.1%

世帯類型別

区分合計一般群抑うつ群
ひとり親世帯81957.3%38.9%
ふたり親世帯3,93463.9%32.1%

子ども本人が感じる暮らし向き別 ( 小学5年生 )

暮らし向き合計一般群抑うつ群
全体1,97072.1%22.8%
大変苦しい3852.6%47.4%
やや苦しい10154.5%43.6%
ふつう95376.8%18.9%
ややゆとりがある26577.4%20.4%
大変ゆとりがある14081.4%14.3%
わからない43665.4%29.6%

子ども本人が感じる暮らし向き別 ( 中学2年生 )

暮らし向き合計一般群抑うつ群
全体1,72658.7%37.8%
大変苦しい3450.0%47.1%
やや苦しい15349.7%48.4%
ふつう85962.3%35.2%
大変ゆとりがある9777.3%21.6%
わからない29453.1%43.9%

勉強時間と成績の自己認知

  • 高校生で「まったく勉強しない」割合は 低所得層Ⅰ27.5% ・ 上位所得層13.2%。小学校段階では差は明確でなく、中学校段階から現れはじめる。
  • 成績を「よいほう」「どちらかというとよいほう」と答える割合は、小5で 低所得層Ⅰ約3割 ・ 上位所得層約5割。中2では 低所得層Ⅰ約17% ・ 上位所得層約46%と差が拡大する。

子どもの居場所と相談相手

  • ほっとできる場所として「自分の家」を選ぶ割合は、いずれの学年 ・ 世帯類型でも8割を超える。所得階層別では 低所得層Ⅰだけが8割を切る。
  • 悩みごとの相談相手として親を選ぶ割合は、他の階層がすべて7割を超えるなか 低所得層Ⅰのみ68.7%。
  • 放課後に一人で過ごすことが「よくある」と答えた子どもは、ふたり親世帯よりひとり親世帯で10ポイントほど多い。所得階層による違いはほとんど現れない。

読みどころ

  • 教育費の準備は所得階層で最も差が開く項目のひとつ。低所得層Ⅰの49.0%が「まったく目処はついていない」と答える一方、上位所得層は76.0%が準備を始め、14.2%はすでに準備を終えている。
  • 保護者が想定する進学段階の差は、子どもが小5・中2の時点ですでに現れている。「高校」までとする割合は 低所得層Ⅰ31.8%対 上位所得層5.4%。
  • 受診の抑制は 子どもより保護者自身で高い ( 28.8%対15.5% ) 。低所得層Ⅰの保護者では44.5%にのぼる。
  • 抑うつ群の割合は、所得階層別の差 ( 低所得層Ⅰ38.0%対 上位所得層32.1% ) より、子ども自身が暮らし向きを「苦しい」と感じているかどうかによる差 ( 小5で47.4%対14.3% ) のほうが大きい。
  • 放課後に一人で過ごすかどうかは、所得階層でなく世帯類型と関係している。

この数字の範囲

  • 北海道・札幌市の全体の数値で、市町村別や地域別の内訳は報告書のこの部に含まれない。
  • 抑うつ尺度は7点をカットオフ値とする自己記入式の尺度で、診断ではない。
  • 所得は可処分所得の推計値にもとづく。相対的貧困線は国民生活基礎調査 ( 2018年 ) のデータを用いている。
  • 一部の項目は報告書本文に記載された代表値のみを転記しており、全階層の数値が揃っていない箇所がある。
  • 暮らし向きのクロス表で「大変苦しい」に該当する回答者は小5で38人、中2で34人と少数のため、割合の変動が大きい。

データ取得元

  • 北海道 保健福祉部子ども政策局 ・ 道内の子どもの貧困の現状 子どもの生活実態
  • 第2回 北海道子どもの生活実態調査 報告書 第Ⅱ部 ( 2023年10月 ) ・ 北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター / 北海道 / 札幌市