所得階層別の制度利用と、 利用しなかった理由 ( 北海道・札幌市 )

生活保護基準とほぼ同水準の低所得層Ⅰで、生活保護を利用したことがあるのは11.7%。残る理由には「条件を満たしていなかった」6.4%、「抵抗感があった」5.0%、「知らなかった」3.4%が並ぶ。調査は約3万人対象・回答率約70%。

分類
教育
範囲
北海道
期間
2021-2022
公開日
2026-07-22
出典
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター「子どもの生活実態調査」研究班 / 北海道 / 札幌市「第2回 子どもの生活実態調査」
ライセンス
北海道 ( 調査報告 )

数値の概略

北海道大学の研究班と北海道・札幌市が2021年 ( 一部2022年 ) に実施した調査。道内の小5・中2・高2の子どもとその保護者、および2歳・5歳・小2の子どもを持つ保護者、あわせて約3万人を対象に行われ、約70%から回答を得ている。2016年 ( 一部2017年 ) の第1回に続く2回目。

所得階層の区分

世帯人数による調整を行った相対的貧困線を基準とする。厚生労働省が貧困率の推計に用いる基準と同じもの。

区分相対的貧困線との比参考 ・ 3人世帯の税込み世帯年収
低所得層Ⅰ1.0倍未満257万円未満
低所得層Ⅱ1.0〜1.4倍未満〜360万円未満
中間所得層Ⅰ1.4〜1.8倍未満〜483万円未満
中間所得層Ⅱ1.8〜2.5倍未満〜688万円未満
上位所得層2.5倍以上688万円以上

低所得層Ⅰは、厚生労働省の貧困率推計における基準の1.0倍未満に該当する。

所得階層の分布 ( % )

区分低所得層Ⅰ低所得層Ⅱ中間所得層Ⅰ中間所得層Ⅱ上位所得層
調査世帯15.318.318.228.419.7
母子世帯60.619.711.16.52.0

各制度の相談 ( 利用 ) 状況と、相談 ( 利用 ) しなかった理由 ( % )

制度所得階層相談・利用したことがある相談する必要がなかった時間や場所が使いづらかった相談するのに抵抗感があった相談先や方法を知らなかった条件を満たしていなかった
保健師低所得層Ⅱ以上27.865.21.42.43.3設問なし
保健師低所得層Ⅰ28.960.41.85.33.6設問なし
SSW・SC低所得層Ⅱ以上7.585.91.12.43.0設問なし
SSW・SC低所得層Ⅰ8.975.22.25.68.1設問なし
生活保護低所得層Ⅱ以上1.196.00.10.21.21.1
生活保護低所得層Ⅰ11.772.11.45.03.46.4

保健師は2歳・5歳、SSW ( スクールソーシャルワーカー ) ・SC ( スクールカウンセラー ) は小2〜高2が対象。生活保護の「知らなかった」は、利用の仕方が分からなかった と 制度について全く知らなかった の合計。

世帯類型 ( % )

ふたり親ふたり親+祖父母母子母子+祖父母父子父子+祖父母その他
82.14.89.02.10.80.40.8

新型コロナウイルス感染拡大の影響 ( 所得階層別 ・ % )

項目低Ⅰ低Ⅱ中間Ⅰ中間Ⅱ上位全体
失業した・仕事をやめた ( 父親 )5.12.10.90.40.41.3
失業した・仕事をやめた ( 母親 )6.74.32.72.51.13.2
世帯収入が減った37.027.521.514.710.120.5
世帯の貯蓄が減った20.121.418.012.05.614.3
体調をくずした・崩しやすくなった ( 保護者 )14.98.97.26.35.78.1
気持ちが沈みがちになった ( 保護者 )25.921.919.516.816.319.4
子どもの学習に支障がでた20.118.416.114.512.815.9

読みどころ

  • 低所得層Ⅰの基準は生活保護基準とほぼ同じ水準にあたる。その層で生活保護を利用したことがあるのは11.7%。報告書は「制度の対象であるにも関わらず利用していない人が存在している可能性」と記している。
  • 利用しなかった理由のうち、必要がなかった以外の項目は 低所得層Ⅰで一貫して高い。生活保護では条件を満たしていなかった6.4% ・ 抵抗感5.0% ・ 知らなかった3.4%。SSW・SCでは知らなかった8.1%で、低所得層Ⅱ以上の3.0%の2.7倍。
  • 保健師への相談は所得階層によらず約3割で、他の制度と比べて接点が広い。
  • 母子世帯は60.6%が低所得層Ⅰに属する。調査世帯全体の15.3%と比べて4倍の水準。
  • コロナ禍の影響はすべての項目で所得階層が低いほど大きい。世帯収入が減ったは 低所得層Ⅰ37.0%に対し上位所得層10.1%。

この数字の範囲

  • 北海道・札幌市の全体の数値で、市町村別や地域別の内訳はリーフレットに含まれない。
  • 調査は2021年 ( 一部2022年 ) 実施。コロナ禍の影響を尋ねた設問を含む。
  • 所得は可処分所得の推計値にもとづく。相対的貧困線は国民生活基礎調査 ( 2018年 ) のデータを用いている。
  • 対象は子どものいる世帯に限られる。単身世帯や高齢者世帯は含まない。

データ取得元

  • 北海道 保健福祉部子ども政策局 ・ 道内の子どもの貧困の現状 子どもの生活実態
  • リーフレット ・ 北海道・札幌市の子どもと家族の生活 ( 2023年2月 ) ・ 北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター「子どもの生活実態調査」研究班、北海道保健福祉部子ども未来推進局子ども子育て支援課、札幌市子ども未来局子ども育成部子どものくらし支援担当課