乳幼児期の 保育・支援制度の利用状況 ( 道内の2歳・5歳の保護者 )
ひとり親世帯の17.2%が生活保護を「利用する必要があったが利用していない」( 報告書による算出 ) 。一時預かり事業は ひとり親世帯のほうが利用率が低く18.5%、ふたり親世帯22.8%。子ども食堂の利用は全体3.0%で、ニーズの高い層ほど必要があるのに利用していないと報告書は推察している。
数値の概略
第2回 北海道子どもの生活実態調査のうち、2022年に実施された乳幼児 ( 2歳・5歳 ) の保護者を対象とした調査から。小2〜高2の調査 ( 2021年実施 ) とは調査年度と方法が異なるため、報告書でも分けて集計されている。
執筆には名寄市立大学の研究者2名 ( 鹿嶋桃子 ・ 及川智博 ) が参加している。
生活保護の利用状況
| 区分 | 利用したことがある | 利用する必要がなかった | 利用する必要があったが利用していない |
|---|---|---|---|
| 全体 | 1.4% | 89.0% | 5.3% |
| ひとり親世帯 | 10.3% | 67.4% | 17.2% |
| 低所得層Ⅰ | 6.7% | 76.3% | 12.4% |
「利用する必要があったが利用していない」は、報告書が「利用したことがある・利用する必要がなかった・不明」の合計を100%から引いて算出したもの。
その理由として多いのは、ひとり親世帯で 条件を満たしていなかった6.9% ・ 抵抗感があった4.5%。低所得層Ⅰで 条件を満たしていなかった4.3% ・ 抵抗感があった3.0%。
一時預かり事業
| 区分 | 利用したことがある | 利用する必要がなかった |
|---|---|---|
| 全体 | 22.3% | 51% |
| 2歳児 | 18.3% | — |
| 5歳児 | 23.8% | — |
| ひとり親世帯 | 18.5% | 44.6% |
| ふたり親世帯 | 22.8% | 51.9% |
利用していない理由 ( 必要がなかったを除く ) は 抵抗感があった5.7% ・ 利用のしかたがわからなかった5.5% ・ 使用時間や制度が使いづらかった4.5%。
報告書は、相対的にニーズが高いと推察されるひとり親世帯のほうが利用比率が低く、「利用する必要がなかった」の比率も低いことから、利用ニーズが高いことがうかがえると記している。
子ども食堂
| 区分 | 利用したことがある | 利用する必要がなかった |
|---|---|---|
| 全体 | 3.0% | 67.2% |
| 2歳児 | 1.9% | — |
| 5歳児 | 3.4% | — |
世帯類型別 ・ 所得階層別で利用状況に大きな差はない。一方で「利用する必要がなかった」と答える比率は ひとり親世帯と低所得層で低い。報告書は、ニーズの高い層ほど「利用する必要があるが利用していない」ものが多いことが推察されると記している。抵抗感があったは全体で2.4%。
市役所・町役場の相談窓口
| 区分 | 相談したことがある | 相談する必要がなかった |
|---|---|---|
| 全体 | 14.2% | 70.5% |
| ひとり親世帯 | 25.1% | 52.6% |
| ふたり親世帯 | 13.5% | 72.7% |
相談していない理由は 抵抗感があった5.0% ・ 相談先や方法を知らなかった3.8%。所得階層が低いほど「抵抗感があった」の比率が高い。「抵抗感があった」「知らなかった」はいずれもひとり親世帯で比率が高い。
子育て支援センター
| 区分 | 利用したことがある |
|---|---|
| 全体 | 30.8% |
| 2歳児 | 35.0% |
| 5歳児 | 29.2% |
| 低所得層Ⅰ | 25.2% |
| 上位所得層 | 34.0% |
| ひとり親世帯 | 22.9% |
| ふたり親世帯 | 31.9% |
所得階層が高くなるほど利用比率が高い。利用していない理由のうち「相談先や方法を知らなかった」3.1%は、低所得層とひとり親世帯で比率が高い。
幼稚園・保育所等の利用
- 「受けていない」は全体で1割強。2歳で34.4%、5歳で1.8%。
- 所得階層別では 幼稚園は中間所得層での利用が多く、認可保育所は低所得層と所得上位層での利用が多い。
- 世帯類型別では ひとり親世帯の認可保育所利用が56.0%と高い。ふたり親世帯とその他世帯は 幼稚園と認可保育所がそれぞれ3〜4割程度。
保育料以外の費用負担感
負担感はない・あまりない を合わせて61.3%、負担感がある・ややある を合わせて23.3%。所得階層別では「負担感はない」が 上位所得層48.6%に次いで 低所得層Ⅰ39.7%で高い。「負担感がある」は 低所得層Ⅱ10.4%と 中間所得層Ⅰ8.9%で高い。
幼児教育・保育の無償化後の経済的ゆとり ( 5歳のみ )
かなりゆとりができた・多少ゆとりができた を合わせて53.2%。「かなりゆとりができた」は 上位所得層33.6%に対し 低所得層Ⅱ16.4%で、倍以上の差がある。
社会的ネットワーク
立ち話をする人が「そのような人はいない」は全体10.3%、2歳児で16.8%。所得階層別では 上位所得層7.3%に対し 低所得層Ⅱ12.4% ・ 低所得層Ⅰ12.8%。
子どもを半日程度預かってくれる先は 同居していない家族・親戚66.3% ・ 同居の家族43.7% ・ 保育園等の一時預かりや延長保育24.5%。ひとり親世帯は ふたり親世帯の値をほぼすべてで下回り、「友人・知人 ( 職場・近所以外 ) 」「その他」「頼める人はいない」の3項目のみわずかに上回る。
日ごろの子育ての悩み ( あてはまる + どちらかといえばあてはまる )
| 項目 | 全体 |
|---|---|
| 子育てや教育にお金がかかること | 54.7% |
| 子どもへの関わり方やしつけに関すること | 54.4% |
| 仕事や家事と子育てとの両立が大変なこと | 49.1% |
2歳児で最も高いのは しつけに関すること57.4%、5歳児では お金がかかること55.4%。
読みどころ
- 報告書自身が「利用する必要があったが利用していない」割合を算出している点が、この調査の特徴にあたる。ひとり親世帯で17.2%、低所得層Ⅰで12.4%。
- ひとり親世帯は 市役所・町役場の相談窓口の利用率が25.1%とふたり親世帯の倍近い一方、一時預かり事業 ( 18.5%対22.8% ) と子育て支援センター ( 22.9%対31.9% ) は下回る。相談はするが、サービスの利用には至っていない構図が読める。
- 無償化による経済的ゆとりは 上位所得層33.6%に対し低所得層Ⅱ16.4%。負担軽減の効果が所得階層で異なって現れている。
- 子育ての悩みで最も多いのは「お金がかかること」54.7%。
この数字の範囲
- 北海道全体の数値で、市町村別の内訳はこの部に含まれない。乳幼児調査の対象市町村は 小2〜高2の調査とは構成が異なる。
- 2022年実施。小2〜高2の調査 ( 2021年実施 ) とは調査年度と方法が異なるため、報告書でも分けて集計されている。
- 「利用する必要があったが利用していない」は、利用経験・必要なし・不明の合計を100%から引いた残差であり、直接尋ねた設問ではない。
- 一部の項目は報告書本文に記載された代表値のみを転記しており、全階層の数値が揃っていない箇所がある。
データ取得元
- 北海道 保健福祉部子ども政策局 ・ 道内の子どもの貧困の現状 子どもの生活実態
- 第2回 北海道子どもの生活実態調査 報告書 第Ⅰ部 乳幼児 ( 2023年10月 ) ・ 北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター / 北海道